ボジョレー・ヌーヴォーのアピール力に学ぶ
December 02, 2010
■■ コラムVOL.60
■■ ボジョレー・ヌーヴォーのアピール力に学ぶ
自分の長所を5つ言いなさい、という質問と、
自分の短所を5つ言いなさい、という質問。
さて、言葉に詰まらずスムーズに答えられるのはどちらでしょうか?
多くの人は短所を5つあげることの方が簡単だと感じる、という話を
耳にしたことがあります。自分の長所を探すには客観性が必要、
一方、日頃から「改善したい」という気持ちで向き合っている短所は
言葉として表現しやすいということだそう。たしかに、複数の長所を
すみやかに言葉にすることは難しいことですよね。
今回は、先日解禁されたボジョレー・ヌーヴォーの販促手法から、
現地フランスのボジョレーワイン委員会が毎年発表するワイン評価
に関するニュースをご紹介します。毎年、多くの消費者が目にする
この評価。「今年は最高!」と発表し続ける、アグレッシブな
コピーを、まずはご覧ください。
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ボジョレー・ヌーヴォー、毎年「今年は最高!」の怪
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毎年のように盛り上がるこのボジョレー騒動で、
「今年のボジョレーはダメ」という評価を見た記憶がない。
それどころか毎年のように「今年のボジョレーは最高!」
という評価ばかり目にしているような気がする。
そこで過去15年のボジョレー評を新聞記事などから調べてみた。
95年「ここ数年で一番出来が良い」
96年「10年に1度の逸品」
97年「1976年以来の品質」
98年「10年に1度の当たり年」
99年「品質は昨年より良い」
00年「出来は上々で申し分の無い仕上がり」
01年「ここ10年で最高」
02年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来」
03年「100年に1度の出来」「近年にない良い出来」
04年「香りが強く中々の出来栄え」
05年「ここ数年で最高」
06年「昨年同様良い出来栄え」
07年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
08年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
「ダメ」どころか「まあまあ」さえ、ない。こうなると、
「○○年に1度」という評価が下されない年、近年で言えば
04年、07年、08年などが恐らく「まあまあ」「そこそこ」
だったのだろう。それにしても、01年「ここ10年で最高」
→02年「01年を上回る」→03年「100年に1度」の3年間
の流れはかなり味わい深い。
今年のボジョレーだが、現地フランスのボジョレーワイン委員会
によれば「09年のボジョレー・ヌー ヴォーは、「『並外れた年』
と言われた03年と05年をも越えるであろう」ということらしい。
(引用)アメーバニュース(11月17日 23時34分配信)
ボジョレー・ヌーヴォー 毎年「今年は最高!」の怪
https://news.ameba.jp/domestic/2009/11/50326.html
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「世界中から注目されるのに、よくもまあ毎年・・・」なんて、
皮肉な意見も聞こえそうなものですが、売上げを上げるための
アグレッシブなワンフレーズを発信し続けていること自体、
どこか関心させられるものがあります。また「今年はどうくるか?」
と、ひそかに発表を楽しみにしている人もいるかもしれませんね。
転職活動に話を移すと、ボジョレーと同様、自分品質(スキル、
実績、性格等)を多少オーバー気味に表現していくことは必要。
そもそもボジョレーのコピーがオーバー気味に見える要因には、
ワインの解禁が「毎年」のイベント事になっていること、さらに、
常に「世界中」の人が目にするものだから。
その点、転職活動とは(基本的に)毎年必ず行うものではなく
アピールする相手は毎回異なります。だからこそ、すこしだけ
ボジョレーのアグレッシブな販促コピーを見習って、自分の
良い点を端的に積極的にアピールする姿勢を大事にしてみる
ことは、転職クリエイターにとってよいことだと感じます。
面接の段階で自己アピールをする際には(ボジョレーに習って)
・「自分品質」を整理し、端的に表現する
・ワイン評価委員会のような、自分「以外」の評価を参考する
・話に「ストーリー性」を持たせて相手に与える印象を強くする
こういったポイントが参考になりそうです。
クリエイターとしての「自分品質」。今年は出来はいかがですか?