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『頭が良い』と思っている人はきわめて危険

July 18, 2013

■■ コラムVOL.189
■■ 『頭が良い』と思っている人はきわめて危険




たとえば、

「情報量がハンパなく、こちらの問いかけにすべて答えてくれる」
「未然に問題を防ぐ方法を考えるのが得意」
「論理的なプレゼンは右に出る者がいない」

という人がいるとして。

(おそらく)他人からは「頭がいい」とか「頭の回転が早い」
とかいった定義をされることが多いのではないかと思います。

すでに決まっていることを行うためにはすばらしい能力ですが、
その一方、まだ決まっていないことを「考える」ためには、
かならずしも必要にならない。そう言う人もいます。

そこで今回は、エンジニアリング会社に勤務するかたわら、
本の執筆や講演活動を行うプロジェクト・アナリスト、
佐藤知一さんのブログ『タイム・コンサルタントの日誌』
から “頭が良くなる、のを避ける方法”の転載です。


<以下、転載>

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「自分は『頭が良い』と思っている」人に
 なるのは、きわめて危険だ

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科学者・寺田寅彦の名言に、


「 頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい 」


ということばがある。つづいて、


「 すべての行為には危険が伴なうからである。
  けがを恐れる人は大工にはなれない。
  失敗をこわがる人は科学者にはなれない。 」

(元文『科学者とあたま』は青空文庫に掲載)。

これは今から75年前の発言だが、いまだに全く古びていない。


最近ときどき、とても頭の良い、物知りな人に会うことがある。
大企業の人に多いが、こちらが何か提起したり、問いかけたりすると、
すぐにその先の帰結を述べてくれる。とにかく、あらゆることが説明
可能な人なのである。説明可能だが、その先は現在の路線を続けると
いう結論にたどりつく。

ところで、話は急に飛ぶが(いつものことで)、
昨年、新しいガスレンジを自宅に買った。ガスレンジなどきわめて
成熟した商品だと思っていたら、新型は驚くべき機能を満載している。
まず、タイマーがついている。セットしたら自動的にガスの火が消え
るのだ。安全設計らしい。それどころか揚げ物の場合は鍋の温度を
自動的に一定に保ってくれる。温度センサー付きなのだ。またグリルも、
受け皿に水を張る必要がない。操作パネルがついていて、デジタル表示
になっている。

しばらくは便利機能に感心しながらつかっていたが、正月のお餅を
網で焼く段になって、困ったことに気がついた。焼き網が高温に
なると、勝手に火がしぼられてしまうのだ。私が文句を言うと、
同居人も「そうなの。魚焼きのグリルも、焦げ目が付く前に勝手に
消えちゃうのよ。私がしたいように動いてくれないし、まったく
どっかの頭の良い人みたい。という。


そしてエンジニアの私に向かって、こう付け加えた。

「自分では料理したことのない
 技術屋さんが設計したに決まっているわ。」

— — ここで私は冒頭の寺田寅彦の文句を連想する。

なるほど、頭の良い設計者は、料理という行為には向いていないのか。



“頭の良さ”と世間ではひとくくりにいうが、私は4,5種類の
頭の良さがあるのではないかとかねてから疑っている。頭の良さ
に関連するキーワードをならべてみると、いろいろある。


記憶力。判断力。分析力。洞察力。創発力。言語能力。推論能力。理解力。


これらをすべてまんべんなく兼ねそろえている人は希で、
どれか一つ二つに秀でている例がほとんどではないか。

そして、世間では頭が良いというのを誉め言葉で使うことが多いが、
「頭の良さ」とは、「目の良さ」「力の強さ」などと同格の特性では
ないかといつも思う。”あの人は頭が良いね”ということは、”あの人は
走るのが速いね”というのと同列で、その人が優れた人格を持っている
とか、徳があって賢いとか、そうしたこととは独立な事象なのだ。

その上で私は、寺田寅彦があえて言ったように、
単に「頭が良い」ことに対して、批判的な意見を持っている。
いや、むしろこう言い直そう。

「自分は『頭が良い』と思っている」人になるのは、
きわめて危険だと感じている、と。

頭が良いと思っている人の特徴はいくつかある:

・人の意見(異見)をきかなくなる
・最後まで見通せる(リスクも含めて)と思っている
・他人の批判がうまくなる
・つねに断定形で語る(自分に疑問を差し挟まない)

などなど。あなたのまわりでも、こうした人を見かけないだろうか。
こうした人々にならないためには、どうしたらいいのだろうか?
なまじ高度な教育を受けた人は、頭が良くなるのを避ける方法を、
知るべきだと思うのだ。

一つの解は、誰か自分より頭のいい人を見つけて、その人を目指す
ことだ。ただし、これは自分の身の回りに、そういうすごい人が
いないとうまくいかない。それよりももっと実効性のある方法は、
自分で手を出してやってみることだろう。つまり、泥臭い世界に
手を出してみることだ。


簡単に「わかった」とは思わないこと。

「知った」とも思わないこと。

「自分は知らなかった」と思う。

それが、自分をまともに保つ秘訣である。


自分には知らないことがある — — すなわち『無知の知』を
身につけることこそ、頭の良い人になるのを避ける最良の
方法なのではないだろうか?



◇◇◇『頭が良くなる、のを避ける方法』タイム・コンサルタントの日誌から
https://brevis.exblog.jp/7033034/


—–


さて、いかがでしょうか?

「答えを見つける能力」は、「気づくのを邪魔」することでもある。

新しい何かを見つけたいとき「判断力・理解力を鈍い自分」に徹する
ことに、きっと価値がある。

— — 簡単に「わかった」とは思わない。

なるほど、肝に命じたいと思える言葉でした。




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