なぜ私はBYNDの扉を開いたのか。BYNDを卒業した今、実はその理由をはっきりと思い出せない。
約3か月前、AfterEffectsを学ぼうと思った動機が確か複合的にあって、やらねばと思い「AfterEffects 学校」と検索した。自主学習の大苦手な私は通学制じゃないと絶対に続かないという確信があり、都内でも珍しい短期集中型通学制のBYNDを選び説明会に申し込んだ。学校と生徒という立場ではなく私自身の背景を汲み取りながらの説明会はカウンセリングさながら。私は自然と心を許し、デザイン業をしている中での仕事の悩みや今後の展望などをペラペラと語ってしまった。ここで学びたいかどうかというより「あ、BYNDの方々と関わってみたい」と心底思い、その場で入学を決意してしまった。説明会の最後に「大倉さんはモーショングラフィックをやることに向いていると思う」と、ふんわりと背中を押してくれた。それがアドベンチャーオブBYNDの始まりだった。
BYNDの授業はAdobeのソフトを使い慣れている私でも情報量が多くハイスピードだなぁという感覚だった。1コマ1コマ授業が終わる度に程よい疲労感で脳みそがふつふつと煮えるようで、着実に筋力をつけているのを感じた。しかし、誰しもが引っかかりそうなポイントはしっかり時間をかけて拾ってくれて、置き去りにはしないという授業のメリハリが凄い。これはオンライン授業ではなくリアルな場で様々な背景を持った生徒達と向き合ってきたことや、プロの現場で膝と膝を突き合わせ対話を繰り返してきた先生達にしかできない特殊能力なのだろう。授業や課題の難易度、心が読めるのかと思うようなタイミングでのアドバイス、不安になるといつの間にか後ろにいるTA。カレーが食べたいと思った日のロケ弁がカレーだったり(それは違…)。
もちろん、うんうんと悩みながら仕事との両立がうまくいかず喜怒哀楽を全部出しながら課題と向き合う時もあったけど、強制やプレッシャーをかけられる事は一切なくきっちりレールに乗せて入口から出口まで乗せてきてもらった。余計なことに頭を使う時間を省きしっかり悩む時間をくれて、新しいことに伸び伸びと挑戦させてくれて、制作と向き合う時間をくれた。AfterEffectsの学習を超えてしまって人生勉強といっても過言ではない程の学びを得てしまった。何でこのBYNDに通い始めたのかはっきり思い出せないのは、当時想像していた「こうなったらいいな」という出口よりも、もっともっと遠くのもっともっと面白く新しい出口に出てしまったからだ。
私は学びを続けていくけれど、これから新たにBYNDというアドベンチャートロッコに乗って出口を見つけていく皆さんが少し羨ましい。
BYNDER:SHIORI O.
COURSE:モーショングラフィッカー、チューン・オブ・モーション(2023 SPRING CAMP)
WORKS:モーショングラフィッカー