タスク先生が最後にくれた言葉。
「皆さんの、自分の世界を見せて欲しい」
人それぞれ見えている世界が違うので、臆することなく動画で表現して通してコミュニケーションを取ろう。

本当に、ハッとしました。

私はこれまでフォトグラファーとして活動してきましたが、正直、自分の世界を見せようと思ったことはなく、目の前の眩しいものを捉えたい、そういう想いが原動力です。それと同時に、なぜ撮りたいのか、その答えとしてはいまだに明確な言葉をもっていません。若い時はとても悩みましたが、今は撮りたいんだからしようがない。写真が好き。光が好き。かっこいい画が好き。心が動いて撮るのが好き、でも仕事でミッションをこなす撮影も好き。撮って喜んでもらえるのも好き、そもそもカメラが好き。いまだにいつも「写真っていいよね」って思う、撮影ごとに毎回。それでよし、としています。

さて動画。

本当は動画の世界に行きたかった、でも早々に諦めました。なぜなら苦手な団体行動をしないといけないから、だったのです昔は。でも時が経ち、ほとんどのことが変わりました。大きくは機材周り、なんと自分の仕事道具で動画まで撮れるようになってしまいました。それはフィルム時代では考えられないことでした。

しばらくするとフォトグラファー仲間内で二つの道ができます。動画の仕事もする人。写真しか撮らない人。私は、頼まれたらこっそりする人。こっそりとは、「難しいことはできないけど、撮影と、iMovieなら使ってもいいよ〜」っていう人。これが限界でした。プレミアもダビンチも挑戦したし、たくさん本も読みました。朝までジンバルのセッティングをして撮影に出かけたこともあります。でも、なーんかよくわからないんです。順調にいろいろ理解して行くも、途中でどっかにつまづいて、それがわからないと、なんか止まっちゃう。そうするとだんだん全体の理解ができなくて、みたいな感じでずっとよくわかりませんでした。

長い時が経ち、きっかけは突然やってきます。
やってきたきっかけは、けっこう大変だけど、お金もかかるけど、掴めなくはないものでした。

岡山住まいの私が毎週土曜に東京に行き、1日授業を受けること。それには授業料+往復の交通費、滞在費、そして動画用のパソコン、周辺機器の準備と、なりにかかります。お金はなんとか、用意でき、出張には慣れているので大丈夫でしょう。それが通学前に思っていたことでした。

ここで学ばなければ、ずっとよくわからないまま死ぬ。
50を超えた私には、死が以前より身近にあります。わからないまま死ぬことをできるだけ減らしたい。逆算したら、そろそろわかんなかった伏線を回収しないと絶対間に合わない。何より私に「動画いける?」って聞いてくれる人に「これくらいならできるよ!」って言って仕事で繋がり続けたい。私は、私の仕事仲間が大好きなのです。

と、いきりたって通いだすとあら不思議、3年前に移住して、細々とやっていたフォトグラファー業の撮影依頼が増えた。なぜか。

そうすると、撮影とBYND、んで旦那のやっているピッツェリアでも私の担当の仕事があって、移動に次ぐ移動で、国内トレインラグが起こり、前頭葉がジーンとして、びっくりしました。
ブログ担当にも関わらず、納期も遅れ、本当に武井さんにはご迷惑をおかけしましたが、同時にとっても支えられました。

ファイナルワークは普段撮っているものからかけ離れたものを撮ろうと思いました。

今ここで見えるもの、瞬発的にできるもの、学生時代に好きだった感覚。授業の内容を綺麗には反映できなかったけれど、創作という意味ではかなりのびのびと作りました。仕事ではない作品作りを終えるとなんだかすっきりとし、同時に何かが自分の中にぐっと流れ込んでくる感覚も感じました。

全てを終えて私が手にしたもの。

それはなんとかスタート地点に立てたかもしれない、という自信。何がわかっていて、何がわかっていないかを自分で理解できたので、これからもっと学ばないといけないことも明確になりました。そしてタスク先生をはじめスタッフの皆さん、クラスメートとの出会い。それはとってもポジティブで、一生の財産。何より、クラスメートみんなのファイナルワークは私にとって宝物です。こんな感覚は初めてでした。

写真の大学に通ってた頃、社会に出てからも、友人のかっこいい作品を見ては羨ましかった。自分が認められないのはとても悔しかった。自分の作品を見て、見て、認めて、ってずっと思っていた。でも、BYNDでは感覚をシェアすることも学びました。今となっては動画も1人で撮れるけど、やっぱり意見を聞き合って、一緒に一つの目的に近づく作業をすることも多かったので、お互いへの理解度が短い期間でも濃く高めることができた気がします。何よりみんな素晴らしい若者で、おばさんはちょっと恥ずかしかったです。みんな素敵すぎて(笑)

私が見てきた眩しい世界が、自分の世界なのかもしれない。

そんなふうに思ったら、すうっと気持ちが柔らかくなりました。思いがけないカタルシス。私が手に入れた一番大きなものはこれかもしれません。


言いたいことはただ一つ。
BYNDの皆さん、ありがとうございました!

ああ、もう一つ。
これからもよろしくね!

 

BYNDER:NOZOMI F.
COURSE:ビデオグラファー/スケッチ・フォー・ビデオ(2024 AUTUMN CAMP)
WORKS:ビデオグラファー