モーションデザインに興味を持つきっかけは、仕事でwebデザインを担当することになり、AfterEffectsに触れたことでした。 そのとき作ったモーションは欧文が5秒で動くもので、BYNDで学んだ今、改めて見ると単純で基本的な動きなのですが、当時はデザインにモーションが入ることで生まれる「奥行き」のような効果に感動しました。
これまで私が仕事をしてきたエディトリアルデザインの分野は、停止する平面上で受け手の目線を動かす媒体です。 一方、モーションデザインは媒体そのものが動く。時間軸もデザイン要素のひとつになる。要素の緩急は変化し、情報が流れていきます。 同じデザイン媒体でも、わたしがこれまで扱っていたものと別次元だと感じました。
独学でYouTubeのチュートリアルを見ていたものの、英語が分からない、操作しても同じ画面にならない、しかし質問もできない、というお手上げ状態。(笑) せっかちな私は操作に時間がかかればかかるほど苦手意識が強まるタイプで、これは早く手を打たなければと急いで学校を探しました。そして見つけたのがBYNDです。
BYNDを選ぶ1番の決め手は、先生と生徒の距離が近そうなこと。ひとつ疑問があると一歩も前に進めないわたしにとって「すぐ聞ける」ことは重要でした。 また、土曜・日曜クラスがあり会社を休まず通えること、それでいて1ヶ月の短期間カリキュラムであること、卒業生が「回し者かな?」というレベルで(笑)良いレビューを書いていることも、他の学校と比べて魅力的な点です。
実際に講座を受けみると、日々のカリュラムが詰まっていて、1日ずつ確実に成長できていると実感できました。 「1ヶ月後、動画クリエイターを名乗る。」と言うだけあって、独学でもスキルを上げられるためのカリキュラムが組まれています。 1ヶ月かけて、ベースとなる動きやモーションクリエイターとしての心得を丁寧に教わっていきました。
興味深かったのが「停止するオブジェクトが強いメッセージを持つ」ということ。動いているオブジェクトではなく、常に動く画面の中で完全停止したものがメッセージを強く受け手に与える、というお話でした。 これまでわたしが学んできた平面上のデザインの強調は、大きさや色、構成を変えたり、テクスチャを加えたりと、「静」と「動」でいえば「動」の要素です。一方でモーションデザインは、緩急の概念が違う。流れる時間に逆らうことでインパクトをつける強調が(当たり前といえばそうなのですが)初心者の私にとっては目からウロコでした。 「自然界で完全停止するものは不自然でしょ」 先生のこの言葉で、モーション表現の面白さに気付き、動画をみる観点が広がりました。
卒業制作では、モーションとグラフィックのバランスについてフィードバックをいただきました。 両軸のスキルのバランスが大事で、片方の力が強いと違和感が出てしまう。自分で作品を作ると身を以て違和感を感じるし、対してどうすれば良いのか分かっていない自分にも気づけました。 私はまだモーション分野を観察する目が鈍く、より良いアウトプットを選択するための引き出しがない状態です。 これから制作を通して、観察の解像度が上がっていき、表現を研究してよりモーショングラフィックを楽しめる気がしています。
何をやっても新しい発見がある、私が知らない視界がもどかしいこの「初心者」の感覚は、そういえば最近感じていなかったなあと思います。時間に追われる生活では持ち合わせているスキルを極めがちで、(もちろんそこにも学びがあって楽しいのですが、)どこかくすぶっているような感じもしていました。右も左も分からない新しい道が、その先で繋がっていたり突破口になることもあるかもしれません。新しいデザインに飛び込んで良かったとしみじみ感じます。
先生、受講生のみなさん、楽しい夏をありがとうございました!これからもよろしくお願いします!
BYNDER: MANAMI S.
COURSE:モーショングラフィッカー(2018 SUMMER CAMP)
WORKS:モーショングラフィッカー